松本清張 けものみち

最終巻
なんちゅーか、「え?これで終わりなの??」な感じの幕切れに呆気にとられた。原作は勿論未読なので同様の締め括りなのかは分からんが、あまりにも放り出し感があり過ぎて幻滅。
今更こんなところで言及するのはどうかと思うし、見当違いだとは思うが、エヴァの影響が大なり小なりあるんじゃないだろうか?エヴァ以降幾多も作られたモノマネ作品と同様『結末は視聴者に委ねる』という大きな勘違いをしているのではなかろうか?あちらはフロンティアだからこそ許されるのであり、設定上の決着はともかくシンジの物語は完結しているのだから、テイストだけ真似ても意味がないのだが。


さて。
民子のしたたかさはよく表現できていたと思うが、それ以外のキャラが誰ひとりとしてまともに描けていなかったと思う。小滝は中盤で突然『巨悪』になった割には、じゃあどの程度の力を持っているのかさっぱり分からなかった。
久恒の行動理念は全く分からんし。劇中では「金のため」といっていたが、鬼頭という後ろ盾が無くなって逃亡した時点で民子から金を手にする可能性は低いだろう。かといって民子に対して『愛がある』描写は皆無だった(匂わす程度の演出はあったが)。
間宮センセーに至っては小滝に擦り寄って「鬼頭を憎んでいた」と言っていた割には、政治家のじーさま方に入閣をちらつかされたら取り入っている始末だし。てっきり小滝と二人でご老体どもに引導を渡すための方策でも練っているのかと思っていたのに。


黒革の手帖』はよく出来ていたと思う*1が、今回はイマイチだったといわざるを得ない。もっともあの終わり方は続編を念頭に置いたものにも見えるので、まだ完結していない(させていない)のかもしれない。
てゆーか、絶対企画は上がってると見るね。

*1:続編・『白い闇』は除く。